代理店のジェイアイシー(JIC、本社:東京都新宿区)の重田誠社長が、法人等事業者が受任する成年後見業務遂行上の賠償リスクに対応する「法人成年後見賠償責任保険」を誕生させた。
同氏が市場の声を聞いて商品設計を起案し、エース損害保険が開発したもので、現在、JICが主導して成年後見業務を行う法人などが比較的多い首都圏でテストマーケティングを行っている。
9月中に本格販売する予定だ。
「法人成年後見賠償責任保険」は、これまであった同種の保険ではカバーされていなかった“職員・従業員や委託先の故意または過失によって法人に生じた賠償責任”を補償する点が最大のポイント。
また、法人後見業務を行う全国すべての法人や社会福祉協議会などの事業者の加入を可能にしたのも初めてだ。
わが国では、判断能力が衰えた高齢者や知的障がい者などをサポートするための成年後見の普及が急務となっている一方で、成年後見業務遂行上のトラブルが散見され、制度の安定的な普及を支える保険制度が望まれていた。
今回開発された保険は、社会福祉法人等事業者が成年後見業務を遂行する上で損害賠償請求を提起された場合に、法律上の損害賠償金(和解金含む)、訴訟費用、弁護士費用などの争訟費用をカバーする。保険の対象となるのは、成年後見人・保佐人・補助人が行う業務、監督人が行う業務、任意後見人が行う業務と幅広い。
JICは、保険システムのトータルプランナーとして保険商品の開発も推進しており、近畿・中四国を管轄するJICウエストグループと他地域を管轄するJICグループにより、2グループ6法人14拠点で構成されている。
JICの重田社長は「高齢化社会が進行し、法人後見人の存在が一層重要になっている。リスクが大きいとして法人後見人を認めない自治体もあるようだが、この保険が普及していけば制度の下支えになり認定団体も増えていくと思う。
JICでは、知的障がい者をサポートする保険も提供しているが、今回の保険は知的障がい者を支援する団体などの声も反映させた。法人後見制度のさらなる普及につなげたい」と意欲を見せている。
また、開発を担当したエース損害保険P&C本部フィナンシャルライン部の中江透水部長は「特殊なマーケットのため、保険開発にはJICからの情報提供が重要だった。この保険が成年後見制度普及の一助になれば幸いだ。今後、認知度を高めていきたい」としている。