損保ジャパンは9月2日、金融機関による動産・売掛金担保融資(Asset Based Lending:ABL)で、融資先企業が抱えるリスクを総合的に補償することを目的に開発した専用パッケージプラン「ABL総合補償プラン」を10月1日保険始期契約から販売すると発表した。
同社では、ABL融資先企業、金融機関、動産評価会社などへの同プラン提供を通じて、ABLの推進をサポートすることにより、中小企業などの資金調達手段の多様化に貢献していくとしている。
企業の事業収益を審査し、不動産などの従来型担保ではなく動産・売掛債権などを担保とした融資であるABLは、法制面・運用面の整備などを経て、徐々に普及はしてきているものの、2011年度の経済産業省調査によるとABLを実行している金融機関は約半数にとどまっている。
一方、ABLの取り組みは、中小企業などの経営改善や、東日本大震災による事業復興・再生を図る資金のみならず、新たなビジネスの資金確保を支援することで地域金融の活性化にもつながることが期待されている。
こうした状況を踏まえ、損保ジャパンは、ABL融資先企業が抱える動産・売掛債権を取り巻くリスクに対して的確な補償の提供を目的に、物流総合保険、取引信用保険などをパッケージ化した「ABL総合補償プラン」を開発し、金融機関によるABLの推進をサポートすることを決定した。
同プランは、物流総合保険、取引信用保険にABL専用特約をセットしたもので、次の特色がある。
(1)動産・売掛債権を取り巻くさまざまなリスクを総合的に補償
保管場所を問わず、融資先企業の動産に対する偶然な事故(火災、風災、水災、第三者による持ち出し、盗難、破汚損、虫食い、まがり、へこみ、輸送中・加工中の事故など※)や、売掛債権が取引先の倒産により回収できなかった場合に、その損害に対して保険金を支払う。
※対象動産によっては補償条件を個別に設定する。
(2)金融機関の意見を取り入れたABL専用特約
商流の過程で変化する動産・売掛債権の財産的価値をすべて担保権の対象とするABLの考え方にフィットした保険金支払い・事務スキームを提供する。
(3)個別ニーズに応じた保険設計が可能
支払限度額や免責金額について複数の契約パターンから選択可能。また、対象動産固有のリスクや必要な補償に応じて補償内容の拡大にも対応する。